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2017.04.19

偲ぶ会

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蕎麦屋の暖簾をくぐって店に入ると、「お酒、飲むのかい」と、中国の仙人みたいな細くて白い一本のあご髭を垂らしたじいさん店主が声をかけてくる。

潮田公園でテニスを終えて、先日亡くなったテニス仲間のK氏を偲んで、昼食に一杯やろうと、テニス仲間の4人が、おなじみの近くの蕎麦屋へ入る。

偲ぶ会とは、家族葬のように近親者だけで葬儀や火葬を済ませた後、日を改めて故人と関わりのあった人を招いてお別れを伝える場であると。
故人の親族が催すものなのだろうが、今回は親族なしで、テニス仲間が、勝手に集まって一杯やろうと言うもの。

ビールを飲みながら、おつまみ注文すると、あご髭は、「刺身はない、天ぷら、肉じゃが、モツ煮込みならあるよ」と。今日はお手伝いのおばさんが休みなので、俺一人でやっているといいながら、運んできた肉じゃがとモツ煮込みの乗ったお盆で、ビールのコップを押し倒し、テーブルは川のよう。それでも謝るわけじゃなし、今拭くから待っていてくれと涼しい顔で言うだけ。

もう一軒の近くの蕎麦屋は、
TVで一度取り上げられてから人気で、お客は店頭に並ぶが、この店は客が殺到することはない。この店主は頑固なジジイだが、蕎麦を静かにいただけるし、蕎麦と天ぷらは絶品だし、ひいきにしているので、テーブルが濡れようが、皆、黙ってビールを飲みなが思い出を話す。

「昔、仕事はコンピューターの
SEをやっていて、企業に派遣されてシステムの保守をやっていた。」でも、PCにあまり詳しくなかったなあ。
「昔からの川崎市の住民でアパート経営していて、生活には困らないよう」、「絵が趣味で、絵画教室を開いていて、生徒を教えていた。教室でいつも最後まで残って帰らないでいたのが、いまの奥さんだ」、葬儀でお会いした奥さんは、小柄で都はるみのようだった。
「なかなか嫁にいかないので心配していた長女が、昨年、急に男を連れてきた。孫が生まれて、いま
3歳、可愛い」、長女さんは言う、亡くなる前夜は、孫を抱き上げていて、いつもより増して喜んでいたと。

「高血圧、メニエール病を持っていたが、薬で治まっていて、週一回のテニスを楽しみにしていた」、テニスでは、時々フォアーの強烈なストロークを打ち込んできて、とてもボールを返せなかった。

「晩酌をして、夫婦でカラオケに行くのが楽しみ」テニス仲間の忘年会、暑気払い、など何回かやったが、日本酒党で、いくら飲んでも姿勢を崩すこともなく、きれいな飲みっぷりだった。

それぞれの思い出をお互い話すのだが、結局、K氏のことは、よくわかっていなかったんだなあ。 シメのざる蕎麦を食べた後、蕎麦屋のあご髭は、にこりともせずに、「ありがとうございました」と言いながら見送ってくれる。

 

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Comments

結局、良く分かっていなかった人たちが、自主的な「お別れ会」をやってくれる、そんな人に私もなりたいものです。

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